英会話の原理
株式を公開している大企業であっても、社長職が世襲制であるような企業がいまだに多く残っていること自体、考えてみれば実に不思議なことです。
規制の撤廃によって外国企業との直接的競合の時代に入ると、それまでは日本的な慣習として当然のように思われてきたこうした状況が変わってきます。
つまり、これまで日本的なあいまいさの中で明確にされることのなかった、不合理やグレーな部分が明らかになってくるのです。
あいまいなままに残しておくことはできなくなってきます。
そして競争優位に立つことのできる企業と、逆に競争劣位であることが明白になってく業とに二極分化してくる可能性も大きいと考えられます。
そうした企業の株を持つ株主にとっては、常に企業のおかれている状況を把握しておく必要性が、これまで以上に強くなってきます。
またこの競争は大企業同士のものに限定されることなく、やがて中小企業までをもいやおうなくその渦の中に巻き込んでゆくでしょう。
その結果、多くの業界において提携や企業買収・合併が進められることになるでしょう。
それが国際的な規模で行われる可能性も高くなります。
この場合にも、企業の業績を正しく把握できる方法が求められてきます。
間接金融から直接金融へ金融社会においても規制緩和が進められようとしています。
いわゆる金融ビッグバンによって、これまで海外企業との競争を行う必要のなかった金融業界が、激しい競争にさらされることになるのです。
すでに金融業界では前項で述べたような海外企業との提携が急速に進み始めています。
海外の優勢な企業との関係を強めることによって、国際的な競争にも勝ち残れるような強さを身につけようと、必死にもがいているのです。
そして銀行の貸し渋りが大きな問題としてクローズアップされてきました。
米国においても前回のリセッション時(景気後退期)に同じような問題が発生して、多くの企業を苦しめました。
それを乗り越える一つのキーワードとなったのは直接金融という言葉です。
企業は活動のための資金を銀行から借り受けます。
では銀行が企業に融資する資金はどこから出てくるのでしょうか。
改めて言うまでもなく、それは消費者が銀行に預けた預金です。
つまり消費者の預金は銀行を経由して、間接的に企業に融資されているわけです。
こうしたシステムは間接金融と呼ばれています。
これに対して、企業の運営資金を株式や債券という形で、消費者が直接的に出資することは直接金融と呼ばれています。
リセッション時の米国では直接金融が企業活動に大きなパワーを発揮しました。
不況の際にも、消費者の支持を得て急激に成長する企業は数多く存在します。
米国においてこうした企業が成長の糧として必要とする資金を調達できたのは、直接金融というシステムがうまく機能したからです。
日本でも同じようなシステムの構築が求められています。
直接金融をうまく機能させるために必要となるのはどのような要素でしょうか。
何よりも重要なのは、投資家である一般消費者がその企業を公正に判断できるだけの材料が、ふんだんに用意されていることです。
そしてそれを必要とする誰に対しても、即座に十分な情報を提供できる準備を、企業が整えていることです。
株式総会は一般投資家に対して、企業の現状を正しく伝えるためのもっとも重要なイベントです。
しかしそうした意識の元に株主総会を開催している日本企業は数えるほどでしかありません。
それはここ数年間に起こった様々な事件によって、日本の一般消費者だけでなく、世界中が知るところとなりました。
そのような日本企業に対して直接金融がうまく機能する可能性はありません。
今求められているのは公正なディスクロージャーです。
しかし、これからは投資信託などの形でそれらが身近な存在になってきます。
しかも、これまで国内市場だけを対象にビジネスを行ってきた企業にとっても、競争相手が海外の企業であるようなケースが増加してくるでしょうし、そうした企業に対して、海外の投資家が直接投資をするような状況も生まれてくるでしょう。
海外市場においても強い企業であれば、ますます投資対象となるケースが増えるでしょう。
さらに、これまで日本人が大切な財産を預けていた銀行その他の金融機関が破綻する可能性も強まってきたことから、彼らが必ずしも安全確実な資産運用先ではないことが明らかになってきました。
しかもそこで得られる利子はほとんどゼロに近いという状況が続いています。
多くの人が個人資産を運営できる新しい委託先を求めているのです。
ここに、直接金融の可能性が大きくクローズアップされてくるのです。
直接金融のもっとも一般的な形態である株式や債券は従来、一般の消費者にとっては縁の薄い金融商品でした。
投資範囲が広がるそれを運用するのが海外金融企業であるケースも増えてきます。
すでにMなどの米国金融企業が日本上陸をはたして営業活動を開始しました。
これまでのようなあいまいでクローズドな企業経営姿勢では、大きな成長のチャンスを失うことになりかねません。
ところが投資の対象となりうるはずの日本企業には、直接金融に不可欠である企業情報の公開=ディスクロージャーがまったくできていないというのが現状です。
たとえば米国では、直接金融による資金調達チャネルとしてインターネットを利用して創業されている企業も存在します。
地ビールが米国で流行し始めた一九九二年に、ニューョークで創業されたS・B社もその一つです。
同社は元弁護士のA・C氏が始めた、「ウィット」というブランドの地ビール製造会社です。
彼はヨーロッパ旅行の際に味わったビールに触発されて、自分でヨ−ロッパ風のビールを醸造するという夢を持ち始めました。
H大学出身の彼は綿密な事業化のプランを立て、九二年にS・B社を設立。
創業当初の会社経営に必要となる資金は、仲間の弁護士たちからの出資でまかないました。
でも全く無名のビールを販売するためには、広告宣伝など多額のマーケティング経費を必要としたために、経営は必ずしも順調とは言えないような状態が続きました。
経営を軌道に乗せるためにはさらに多額の資金を必要とします。
しかし、銀行は先の見通しのつかないような小企業に十分な融資をしてくれません。
そこで彼の考え出したのが、インターネットを使って資金を調達することだったのです。
インターネットで投資家を募集するという画期的なアイデアが奏功し、一年後スプリングストリート社には、三五○○人の投資家による一六○万ドルもの資金が寄せられました。
次にC氏が行ったのは、三五○○人の投資家によって購買されたS社の株式を取引できる「場」を作り出すことでした。
というのも、同社の株式は証券取引所などにおいて売買されることのない、きわめて私的なものでしたから、投資家となった人たちのためにも、また同社の株式を買いたくても買えなかった人たちのためにも、自由に売買されるシステムを作ることが求められたのです。
その「場」となったのも、もちろんインターネットです。
そして同社のホームページの中にはウィットトレードという、同社の株式だけを売買できる「仮想証券取引所」が設けられることになりました。
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